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グルメ ユニーク企業特集

年間廃棄10億本以上「フラワーロス」に向き合ってチャレンジ【#23.株式会社MITSUME】

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「関西・大阪のこれからを担うユニーク企業特集」

2025年の「大阪・関西万博」の開催が迫る中、今後ますます発展していくであろう”大阪”

大阪らしいユニークな発想や、楽しい仕掛けで関西を盛り上げようと奮闘する企業にスポットを当てた企画です。

第23弾は、「株式会社MITSUME」をご紹介します!

 

株式会社MITSUMEとは?

資源枯渇や生態系破壊などの環境変化とともに、“廃棄”に対する意識が世界的に高まっています。

SDGsのターゲットの一つには、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」という目標が掲げられ、“フードロス”という言葉も日本各地で聞かれるようになりました。

最近は年間10億本以上廃棄されるといわれる“フラワーロス“にも注目が集まっており、今回ご紹介する大阪市淀川区の「株式会社MITSUMEMISTUME(ミツメ)」も、独自の発想力と技術力で”フラワーロス“の解決に挑む企業の一つです。

「MISTUME(ミツメ)」の創業は2020年10月。

社訓に「未来を見つめ(ミツメ)いつも誰かの笑顔のために」を掲げ、生花、ドライフラワー、造花などさまざまな仕様の花を活用したギフト製造やイベント施工を手掛けています。

主力のフラワーギフト事業では、下記のようなアイテムが人気となっています。

具体的にはどのような事業を展開しているのでしょうか。

代表取締役の山口徹さんにお伺いしてきました。

 

ドライフラワーシャンデリア

花と光が融合したドライフラワーシャンデリア

花と光の美しさを融合させた独創的なシャンデリア。

かすみ草、山シダ、ススキなど、花束の脇役となるような花を多用しているところにも独自性があります。

品質やサイズが規格に合わないことなどを理由に破棄される花をドライフラワーに加工して使用しています。

 

一輪の大きな花束

オリジナルアイテムの「一輪の大きな花束」

燃やしても汚染物質を排出しない特殊なスポンジ素材を用いた一輪の大きな花束。

プロポーズや誕生日祝いなどのサプライズギフトとして感動的な瞬間を演出するほか、空間を彩るインテリアとしても活用できます。

 

モールフラワー

モールに合わせて花びらの形や方向を指で調整できる

人体や環境に影響を及ぼす有害物質不使用の素材で作ったモールフラワー。

造花なので色褪せることがなく、水やりなどの手間もなく手軽に花のある生活を楽しむことができます。

 

「スイスホテル南海大阪」のイベントでは、七色の花びらを持つ「一輪の大きな花束」を作成

イベント施工では、「コンラッド大阪」「スイスホテル南海大阪」といったラグジュアリーホテルのイベント装飾を手掛けているそう。

9月に開業したばかりのグラングリーン大阪内にある「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」も!

 

花の廃棄削減と需要拡大を同時に実現するアイデア

年間で10億本を超える花が廃棄されるフラワーロス問題。

フラワーロスとは、生産、収穫、輸送、製造、包装などの流通過程で廃棄される花のことを指します。

その量は花の生産量の30~40%に及び、経済損失に換算すると1,500億円に上るといわれています。

誰の手にも届くことなく、これだけの花が捨てられてしまっているなんて…。

 

山口 徹代表

じつは私も想像していた以上の廃棄量に驚きました。
大学生時代に生花店でアルバイトをしていたのですが、振り返ってみると毎日のように4~5個のゴミ箱を花でいっぱいにしていました。
一店舗だけでこれだけの花を捨てているわけだから、全国の量でいったら膨大になりますよね。

規格外の花が売り物にならないということに加え、花の生産はプロダクトアウトが主流であるため、消費者ニーズに合わずに売れ残ってしまうこともフラワーロスを増加させる要因となっています。
花は生き物なので時間とともに劣化し、売れ残った花は破棄せざるを得なくなります。
また、必需品ではない花は景気動向に左右されやすい傾向にあり、物価高を背景に節約志向が高まる中、近年は消費そのものが減退しているようです。

廃棄率が高いから、収益バランスが明らかにおかしい。
これって生産者、販売者、消費者の関係がウィンウィンでつながっていない可能性があると思いました。

消費者ニーズに応えながらいかに花の需要拡大と廃棄削減を実現していくか。
その答えの一つとして山口代表が「MISTUME」の事業を通じて提案しているのが、廃棄する花で作るドライフラワーです。

生花の場合、茎の長さで価格が決まります。
短いものほど安くなり、短かすぎるものは商品にならない。
一方で、ドライフラワーであれば茎の長さは加工すれば長くすることができます。
規格外となって売れ残った花を生産者さんから引き取り、ドライフラワーに加工して新しい価値を持つ花に生まれ変わらせます。

照明と花を掛け合わせたドライフラワーシャンデリアって、芸術作品の域にある美しさですよね。
この素敵なアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?

 

もともと宮崎県のドライフラワー専門店「STOCKROOM(ストックルーム)」さんが作られていて。
「MISTUME」のメイン商材をドライフラワーにしようと考えていたところインスタで販売代理店の募集をしていることを知り、取扱商品として最適だと思い応募しました。
この時期に全国各地に代理店を一気に作ったため予想以上の注文が来るようになったようで、デコレーション技術を持っていた私たちが製造も手伝うようになりました。
ただ、あのレベルのデコレーションができるようになるには時間を要しました。
細部に対するこだわりはもちろん、ものづくりに対する想いもしっかりと受け継いで表現しなければ同じクオリティのものにはならない。
そのために宮崎まで学びに行ったりして、商品として売り出せるようになるまで一年弱かかりました。
今は兵庫県西脇市にアトリエ兼ファクトリーを構えて製造し、お互いよきビジネスパートナーとして協業体制を築いています。

作り手の想いの部分が大事だったりするんですね。

 

花は作り手の気分や体調をそのまま映し出してしまう

今まで何万個って商品を見てきましたが、花って作り手の気持ちがそのまま出てしまうんです。
プロポーズ用の花だったら、贈る人の気持ちと、その先にある贈られる人の気持ちまで想って作らないといいものはできない。
「早く仕事終わらせたい」とか「上司のあの言葉むかつく」とか、そういう気持ちを込めて作ったプロポーズ用の花って誰も欲しがらない(笑)。
作り手の気分や体調の良し悪しはすべて花に映し出されます。
だから品質を守るためにも、職場環境をよくすることには注意を払っています。

 

自由だからこそ責任をもって仕事に取り組む意識が高くなる

具体的には、どんな職場づくりをされているのですか?

超フレックスタイムを導入しています。勤務日や勤務時間は自己申告制。
「子どもが熱を出して急に帰らなければならなくなった時、後ろ髪引かれる思いで早退する」という経験がある女性は多いと思いますが、そういうストレスも極力減らしてもらえるよう当日の勤務時間変更にも対応しています。
今後は社内でタイミーのようなシステムを機能させたいと考えています。
「その時間だったら働ける」と手を挙げてもらって、無理なく勤務できる体制を整えていきたい。
雇用形態も業務委託やパートなどいろいろ。
まずはやる気を見て、それからどういうライフスタイルを望んでいるのかとか、どれぐらい収入を得たいのかなんかを具体的にヒアリングして、一人一人に合った勤務形態を選んでもらっています。
自由過ぎると統制が取れなくなると思われがちですが、自由だからこそ責任をもって仕事に取り組む意識が高くなっていると感じています。

「自分の意思で働き方を決めたんだ」っていう自覚が責任感を生むんですね。

 

縛り過ぎると、逆に休める時間を探そうとしてしまうようになると思います。
また、生花店の仕事は一見華やかに見えますが、実際はバケツの水を何度も入れ替えたり、寒い季節もクーラーを利かせた場所に居なければならないなど、体力的な負担が大きい仕事でもあります。
ドライフラワーや造花の場合はそういった負担をなくしつつ「花屋で働きたい」という女性の願いを叶えることもできる。
「MISTUME」の事業を通じて、新しい花屋の働き方も提案していきたいです。

 

山口代表にとってSDGsとは?

SDGsでいうと、8つ目の目標「働きがいも 経済成長も」を実現されているわけですね。
山口代表は、SDGsについてどうお考えですか?

SDGsって、企業が単体で掲げてもなかなか実現するのは難しいものだと考えています。
単体では生み出せない価値を他者との相乗効果で生み出すことがSDGsの本質ではないでしょうか。
バッチだけみたいなノリがあると流行りで終わってしまうので、実際に行動することも重要です。
「うまくいかなかったら止める」とういのも持続可能性のある取り組みだとは言えません。
取り組みを継続していくモチベーションとなるのが楽しさやワクワク感だと思います。
共感し合える他者とつながり、ともに社会課題の解決と新しい価値創造を目指すことで、そういった気持ちを高められると考えています。

共感し合える他者とのコレボレーション、なんだか想像するだけでもワクワクしますね。

 

ドライフラワーを使うとどうしても破材が出てしまうのですが、葬儀屋のろうそくを回収してキャンドルを作る会社があって、その会社とフラワーキャンドルを作ってもいいねと話したりしています。
さらには陶器の破片をアクセントにして作ってもいいねと、陶器メーカーとのつながりも生み出しています。
また、広島市平和記念公園に届く折り鶴を再生紙に変え循環させるプロジェクトがあるのですが、その再生紙を使って巨大な祈りの花を作る企画を広島市に提案したりもしています。
事業で培ったノウハウで、私の出身地となる広島に何か還元したいという思いからです。
花が大好きだった祖母に空の上から見えるくらい大きな花にしたという個人的な思いもあったりします。

 

企業として利益を出すことはもちろん大切なことですが、利益最優先ではない取り組みというのは、その企業が進もうとしている方向性がより明確に伝わってきます。

ちなみに、花を主軸に事業をしているのは、おばあさまの影響からですか?

 


じつはもともと花にはそんなに興味はなくて(笑)。
たまたまアルバイトとして生花店で働き始めて、そこから得た花の魅力や課題が今の事業へとつながっています。
ただ、祖母は自営の焼肉店をしていたので、その姿を見て「商売とは何か」というのは教えてもらいました。
「なんでこんなに働くんだろう」っていうくらい休まない人で(笑)。
祖母は、明日もまた来てくれる人がいるとわかっているから店を開けるんです。
自分を待ってくれている人を決して裏切らない。
祖母のそういう商売に対する姿勢を私も受け継いでいると思います。

「誰かのために」というのは、人が持つ中で一番強い原動力なのかもしれないですね。

私が企業したのはコロナ真っ只中で、想定していたホテル業界からの依頼が皆無という状況が続きました。
それでも事業を続けてこれたのは、「コロナ禍が収まったらまた頼むよ」と待ってくれている人たちがいたところが大きいと思います。
ホテル営業再開と同時に、装飾依頼の注文をいただいて今もコンスタントに受注しています。

 

これからの展望

10月から事業も5期目に入りましたね。
今後どんなことに取り組んでいきたいですか?

菊は日本で「尊敬」や「信頼」という意味合いから仏花として使われることが多いですが、海外ではブライダルフラワーに使ったりしています。
ジャパニーズブランドブランドとしてクオリティの高い菊を海外に向けて発信していきたいと考えています。
日本でも、菊に対する新しい価値を創っていきたいです。

「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」でも、切り花を輸出重点品目に位置付けて令和7年までに輸出額を18.8億円とする目標を設定していますね。
切り花など花きの輸出拡大に向けて、生産から販売に至る関係者で構成される「全国花き輸出拡大協議会」がPR活動をしたり。
輸出の機運が上がってきてますね。
また、7月にオープンして、9月にグランドリニューアルオープンをしたギフトフラワー・イベント装飾専門店「MUM FLOWERS(マムフラワーズ)」(大阪市淀川区)の“MUM”も菊ですよね。
ここから新しい菊の価値が生み出される予感がします。

 

僕ら花屋は、買ってくださる人を喜ばせるのはもちろんなんですけど、その奥にいる“花を受け取る人”のことまで見えていないとただの物売りになってしまう。
その先にいる人にも届くような技術と発想で仕事をしなければならないと考えています。
社訓に掲げる「未来を見つめ(ミツメ)いつも誰かの笑顔のために」を軸に、これからも花を通じて多くの人を笑顔に変えていきます。

 

【会社概要】

商号:株式会社MITSUME
創業:2020年10月
資本金:100万円
住所:大阪市淀川区東三国2丁目31-12
TEL:06-6676-0323
FAX:03-6678-7935

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